【シルバー教授】石屋・林 千之 / 石、そして若者への挑戦

写真と記事:瀬尾泰章

・2011年6月7日(火曜日)林 千之さんがお亡くなりになられました。この取材をさせていただいてからもう3年が経ちました。取材後数回お目にかかりましたが、元気そうに、がんばれよ、といつも励ましの言葉をかけていただいた林さんの顔が思い浮かびます。 林さんの石への挑戦する想いが、次の世代に伝わっていってくれる事を願っています。心よりご冥福をお祈りいたします。

※林氏が制作した画家・奥田元宋氏の記念碑。広島県立日彰館高校玄関口にて。

石屋暦60年を超える、林千之石材店の 林 千之 氏。
この年80歳を迎える林氏だが、石への挑戦はまだまだ続いている。

『石が一番じゃないかのー』

そう、石への自信を語る。

『石は風化に強い。一度作ったら、やはり何百年と持つんじゃけーのー』

石で作品なんかつくるときでも、一発勝負。

『石で何かをつくることは、やり直しがきかん、
人生のようなもんじゃのー』

『そう、一発勝負じゃ』

その言葉には石へのこだわりを強く感じれるものだった。

ウラハラ藝大があるのは、東京のど真中、若者、流行の街、原宿である。

ここで、若者になにか伝えることができたらと、林氏は考えておられる。

『内装をやったり、キャラクターものを作ったり、
石でもこんな事できるんだーっていう、
なにかのきっかけ作りにならないかなといつも思っている』
と、林氏。

石に立ち向かう、石に対しての『挑戦』を若者に伝えたい。
石を扱う事は『面白い』という事が分かってもらえないか、
そう考えておられる。

『まずは軟石からかものー。削りやすいし、
触ってもらって石に興味を持ってもらえたらええのー。』

僕も石について素直な質問を投げかけてみた。

一番高級な石って何ですか?

『それは香川県産の 庵治石 じゃのー、やっぱり』

『もー全然、ちがうよのー。高級品よのー』

固く、質が良い庵治石は、他の石の数倍、数数倍にも値がはるらしい。

一般的には今、中国産が増えてきているというのも現実。
値段が断然安い、その理由で市場は中国に流れている現実もある。

そして林氏にも一つ気にかかることがある。
それは、後継者不足である。

『今、石を扱える職人さん、後継者がいないんじゃ。』

石に携わる職人がいなくなり、今、日本では『石商売』ばかりだという。
(石を売り買いするだけのところが増えてきているのが現状のようだ)

『正直さみしい』

と林氏。

だからこそ、今、ウラ藝で発信したいことも多いのだ。

林氏が石屋をはじめたきっかけは、親の後を継いでのことであった。

『なんでも、せにゃーいけん時代だったんよのー。
戦後は仕事がなかったしのー。親父がもともと石屋をやってたから
それを受け継いだんよのー』

林氏の青年時代は第二次世界大戦のまっただ中。
そんななかでも、林氏は父親の背中はしっかりと見ておられたようだ。

林氏のおじいさん、お父さんは、神社の鳥居を作っていた
という記憶があるという。

鳥居を造る事は当時、大きなプロジェクトだったようだ。
大きいものを作ることは『美』とされ、また石屋としての誇りでもあった。

仏像も造っていて、本当に職人としてかっこう良かったと。

その当時は当然、石も手彫りである。
たまに気持ちが入らないときは、ブラブラと街を散歩し
て気を休めたりして、なんかその気持ちを作品に込める意気込みが、

『芸術家よのー』

と林氏は親の仕事ぶりを思い出す。

そういうところに、かっこよさを見つけられた事も事実のようだ。

この石屋をやっていてやりがいを感じることはというと、

『一家の安心、喜びに報えた時じゃの』

と林氏。

『例えば今は、墓石の需要が多いのじゃが、墓石なんて一家に一つ、
一生に一度買うか買わないかというもの。一家の若い衆と年寄りが相談にきてのー。そう、若者は洋風の墓石がよく、でも年寄りは従来通りの日本の墓がよくてのー。結局は従来通りのものになるんじゃが、一家にひとつの大事な墓を完成させ、おさめたとき、ほっとするよのー』

今年80歳を迎える石屋・林 千之氏の挑戦はまだまだこれからである。

僕はお話を聞いていたときに林氏から何回もでてくる
『石への挑戦』
という言葉がとても気にいった。

挑戦。

そう、若い僕たちが負けてはいられない。

林千之石材店

本店    (0824)43-2207
バイパス店 (0824)43-2501
FAX    (0824)43-3184
広島県三次市吉舎町吉舎559-2

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written by

ウラハラ藝大代表 Photographer | 写真家

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